補助金、クラファンのウラ技

下請品質はいい言葉、下請根性はダメ言葉

下請を続けられるのは信頼の証であり、それ自体素晴らしいことなのですが下請根性はいけません。下請に慣れ過ぎ「営業に出ても断られるのがほとんどだし効率が悪い」「営業と言われても何をすれば良いのかわからない」と言う会社もあります。そこで今回はそうした企業でもできる営業の仕方について解説します。

長い間下請け専門でやってきた企業の中には「営業をしたことがない」という会社も多くあります。確かな仕事と信頼の上に成り立っている下請は十分な利益が出せるなら1つの理想形かもしれません。ただ、未来永劫そのポジションが保証されているわけではないですし、発注元が突然倒産ということもあるかもしれません。親会社が変わった途端に方針転換ということもあるでしょう。業績不振が続く取引先に「ウチ以外の仕事をやってもらってもいいからね」などと言われる可能性も否定できません。

なかでも意外と困るのは段々と受注量が減っていく場合です。こちらも「今年は悪かったけど来年は戻るんじゃないか」「今月はダメだったけど来月は・・・」「減ると言ってもウチの商品が世の中からなくなることはないから」などと考えがちで、何も手を打たず手遅れになることがままあるからです。まさに茹で蛙です。

補助金、クラファンの活用法

そうは言っても経験ゼロ、予備知識ゼロですぐに結果が出るほど営業は甘くありません。そこでオススメしたいのが補助金制度、クラウドファンディングの活用です。

補助金は採択(合格発表)があると、事務局のHPに企業名が公表されます(PDFをダウンロードできることが多い)。多くの場合、補助事業名まで公表されるので、その会社がどんなことをやろうとしているのか大体のところまでわかります。実はこれって結構すごいことです。HPを調べれば連絡先もわかりますし、情報ゼロの飛び込み営業ではなく、事前にある程度の情報をもって提案営業ができるからです。

採択一覧を見て「ウチは申請してないし関係ないや」と止まってしまうのか、「あの会社こんなことやるのか」という目で営業資料として見るのかでは、その後の展開に大きな差が出ます。

さらに優秀なのがクラウドファンディングです。クラウドファンディングのサイトには様々なジャンルの製品/サービスが掲載されています。どんな内容のプロジェクトなのかはもちろん、どんな想いで開発したのか、調達したい金額はいくらなのか、今後の展開をどう見ているのかといった情報が盛りだくさんです。目標金額に対する進捗率なども出ていますから本当に実現するプロジェクトなのかどうかもわかります。

どちらも本来はその会社のための資金調達手段ですが、アイデアさえあれば当社の営業資料に活用できることがわかりました。これに限らず今の世の中には様々な情報があふれていますから「営業なんてしたことない」「営業人材を雇う金なんてない」と嘆く前に「何とかするぞ」という気概を持って、営業リストづくりから始めてみましょう。

この記事を書いた人

荒谷 司聖のアバター 荒谷 司聖 代表取締役

㈱プラスタスパートナーズ代表取締役
一般社団法人ちよだ中小企業経営支援協会代表理事
1973年、東京江戸川区生まれ。学習塾講師、市場調査会社を経て現在。
後継者支援を中心とした中小企業支援、およびそのノウハウを活かした金融機関向け営業研修事業を展開しています。また2016年からは下請法を踏まえた価格交渉術に関する知見を積み、各地の商工会議所、業界団体等にて受注企業の立場に立ったセミナーを開催しています。

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