組織を活性化するには

悩める組織

いま私の周りには「活性化」に悩みを抱える組織が多くあります。マンションの管理組合、小学校のPTAといったプライベートな場もあれば、商工会議所の部会、同業者の集まりといった仕事に関係する会合もあります。

盛り上がるか、盛り上がらないか、分岐点はどこにあるのか。せっかくなら盛り上がっている組織の方が楽しいし、得られる結果も良いはずですよね。シラけた場では良いアイデアも出ない、結果うまくいかない、そしてそれを繰り返す。できることならそんな場ではなく、活気ある場に参加したいと思いませんか?

アイデアを募ろう

活性度の低い組織でよくやるのが全員にアイデアを募る手。「何かアイデアはないですか」「どんなアイデアでもOKです」「まずは1人1つずつ出し合いましょう」などと呼びかけるわけです。どんな集まりかにもよりますが、特に会社など強制力の働く場であれば問題なくそれなりのアイデアが集まります。問題は次の一手です。

特に1人1票、対等に話し合う場ではくだらないと思えるアイデアも無下にはできません。前提として「どんなアイデアでもOK」と言っていますし、アイデアが出てくるだけマシと言えないこともない。それにせっかく考えてくれたアイデアを適当にあしらってしまってはその後の展開が難しくなる。ヘソを曲げて何もやってくれなくなるかもしれない。何をやるにしても最後は行動ですからそれでは困りますよね。

そんな時、座長の頭の中は「より良いアイデアに時間を割きたい」「早くもっとマシなアイデアに辿り着かなくては」という想いでいっぱいです。少し慣れた人なら何かしらコメントをつけてスッと次のアイデアに移るかもしれません。すべてはより良いアイデアのため、そう思ってその場に働きかけます。

・・・でも、そもそもここでいう「良いアイデア」っていったい何なのでしょう。費用がかからないことを良しとする人もいれば、取組みやすさを重視する人もいるでしょう。リスクの少なさ、成功確率の高さに目を向けている人もいるかもしれません。そんななか、いきなりアイデアに良し悪しをつけてしまえば、結局は座長が決めた形になります。「それが長の仕事だ」と思われるかもしれませんが、参加者の間に「俺はいなくても良かった」「最後は座長次第」という空気が生まれたら活性化など望むべくもありません。

大切なのは目指す方向が見えること

「良いアイデア」の選別に入る前にやっておくべきこと、それは何が良いか、どちらの方向に向かうのかを決めることです。航海で言えば北極星探し、会社で言えばビジョンです。そのビジョンに近づけるアイデアこそ良いアイデアというべきです。

自分を含む全員のアイデアをもとにビジョンを決めた。このステップが重要です。自分のアイデアが北極星から遠いことがわかれば大抵の人は納得がいきます。アイデアそのものを否定されたわけではなく、目的地へ向かうルートから外れてしまったことに気が付くからです。

ビジョンは見える形にしてナンボです。社長の頭の中にあるだけでは「また社長があんなこと言ってる」「思い付き」「好き嫌いで決めてる」などと言われてしまいます。組織の活性化には明確なビジョンが必要なのです。

この記事を書いた人

荒谷 司聖のアバター 荒谷 司聖 代表取締役

㈱プラスタスパートナーズ代表取締役
一般社団法人ちよだ中小企業経営支援協会代表理事
1973年、東京江戸川区生まれ。学習塾講師、市場調査会社を経て現在。
後継者支援を中心とした中小企業支援、およびそのノウハウを活かした金融機関向け営業研修事業を展開しています。また2016年からは下請法を踏まえた価格交渉術に関する知見を積み、各地の商工会議所、業界団体等にて受注企業の立場に立ったセミナーを開催しています。

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