一般論としての適正価格
「適正価格」という言葉を最近よく耳にします。試しにネットで検索してみるとWeblio国語辞典には「不当に高くもなく、かといって安すぎもしない価格」とあります。さらに総務省統計局の「なるほど統計学園」には、掻い摘んで言うと「高過ぎず安過ぎず、買うときに不安にならず、かといって買う人がいないわけではない価格」というふうに書かれています。
いずれも「ですよね~」な説明です。
まあ「適正」の部分に「誰もが納得できる」という意味があるのでしょうから、そうなりますね。特に政治家、官公庁、ニュースなどではそこを強調しているように感じます。ときに便乗値上げという言葉の裏で語られることも多く、誰もが納得できる価格でないものは悪だ、という印象さえ受けます。私は「お金を払わない人にまで納得してもらう必要はない派」なのですが、皆さんはいかがですか?
それはそれとして・・・、商売人にとって大事なのは「結局いくらにすればいいんだよ」というところでしょう。
中小法人取引における適正価格
先の総務省サイトには、まず大勢の人にアンケートをとり、グラフを書き、その囲いの中で決めるというようなことが書いてありますが、たとえば特殊な機能を持った新商品、使ったこともないその商品を一般ピーポーは正しく評価できるでしょうか。接客やアフターサービス、使い勝手やサイズ感、手触りなど感覚的な部分は含めなくても良いですか?それを含めての商品、サービスなんじゃないですか?
それ以前に中小企業が大金をはたいて調査をかけるなんてことないですよね。そう考えると、なかなか、・・・ですよね。
中小の法人取引では、その悩みがさらに深まります。なぜって相手はおのずと限られますし、取引先との間には目に見えぬ力関係もありますから。適正?対等な取引?何言ってんの?って世界です。
適正価格なんて忘れてしまえ
じゃあどうするか。結論「適正価格なんて忘れてしまえ」です。特に中小B2Bの価格交渉においては、適正価格など気にせず自社が考える理想価格からスタートするのがおススメです。誰もが納得できる、モメないで済む価格など、考えてはいけません。当たり前と言えば当たり前なんですが、向こうは値切るのが仕事。どんな価格でも必ず値切ってきますから、自然とそれより低い値段に向かっていきます。少しでも高い価格で折り合いたいなら上から行くしかないんです。ちなみにもし値切られなかった場合、それは向こうの想定価格を下回ったということですから取りこぼしが生じているということです。
B2Bの価格交渉は断られることがスタート、それが中小企業の正解です。適正価格を狙うのはやめましょう。断られるのがイヤという気持ちはよくわかります。でもそれが当たり前、スタートなんだと思えばどうということはありません。みんな断られている、みんなそうしていると思って価格交渉に臨みましょう。
なるほど統計学園→https://www.stat.go.jp/naruhodo/15_episode/toukeigaku/kakaku.html